10月10日、トランプ米大統領がペンシルバニア州で応援演説。記者団を前にFRBを批判した(寫真=ロイター/アフロ)

 政府の意向に沿った金融政策が実施できるよう、政府サイドが人事権を大いに活用してきた先進國はどこだろうか。答えは日本である。リフレ派のブレーンの意見などを踏まえつつ、安倍首相自らが日銀の「レジームチェンジ」を主導。任期満了を待たず退任した白川方明氏の後任の総裁に、インフレ目標導入を財務官僚時代から主張していた黒田東彥氏を起用したほか、副総裁にはリフレ派の學者である巖田規久男氏を抜擢した。

 その後、黒田総裁は再任、巖田氏の後任は同じリフレ派の學者である若田部昌澄氏になった。政策委員の後任人事では、異次元緩和に反対姿勢の人物は起用されず、賛成派か中間派のみが並ぶ陣容になっている。

 実は、これと対照的なのが米國である。トランプ大統領はパウエルFRB(連邦準備理事會)議長が主導している緩やかな利上げ路線に、公然とクレームをつけている。だが、空席のFRB副議長やFRB理事を指名する際には、人事権を活用してFRBをハト派(利上げに慎重で利下げに前向きな意見の持ち主)で埋め盡くそうとするような動きは、全く見せなかった。そうしたFRB人事は80年代のレーガン大統領(當時)とは全く異なるやり方だとして、驚きをもって受け止める向きも少なくない。以下のような人事があった。

女性比率の高さに意外感

 この3人がそのまま承認されると、FRB理事7人のうち、ボウマン氏、リャン氏に現任のブレイナード理事を加えた3人が女性になり、イエレン議長在任中よりも「女性比率」はアップする。女性蔑視のきらいがあるとされるトランプ大統領の下で、そうした狀況が視野に入るとは、筆者には正直、想像できなかった。

 FRBに空席が多數あったにもかかわらず、なぜ人事権を通じてトランプ大統領はFRBへの影響力を増そうとしなかったのだろうか。

 ただ単に大統領の職務がきわめて多忙で、そこまで気を回す余裕がないだけなのか。それとも、トランプ氏は內心では中央銀行マンの専門性や中央銀行の獨立性といったコンセプトに対し、それなりの敬意を抱いているのだろうか。

 そうした疑問へのはっきりした答えが出てこない中、中間選挙まで1カ月を切ったタイミングでの米國株急落に直面したトランプ大統領は10月9日から11日にかけて、3日連続でFRBの利上げ路線を公然と批判して見せた。

コメント7件コメント/レビュー

いや、そもそもFRB議長としては異例のと言っていいほど短い任期だったイエレンを再任せずに、パウエルを議長に選んだ時點で人事権を使った介入をしているわけで、何言ってるのという內容。當時はイエレン(本質的にはハト派だが當時の環境としては利上げ推進派)よりはコントロールしやすいとしてパウエルを選んだのでしょ。目論見が外れただけで。(2018/10/24 08:03)

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「トランプ大統領、FRB利上げに「文句は言う」が…」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの?やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

會計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済?マーケットの分析?予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時點のものです。

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いただいたコメント

いや、そもそもFRB議長としては異例のと言っていいほど短い任期だったイエレンを再任せずに、パウエルを議長に選んだ時點で人事権を使った介入をしているわけで、何言ってるのという內容。當時はイエレン(本質的にはハト派だが當時の環境としては利上げ推進派)よりはコントロールしやすいとしてパウエルを選んだのでしょ。目論見が外れただけで。(2018/10/24 08:03)

「デフレは通貨現象なので、金融政策だけで脫卻可能」という異次元緩和の前提が錯誤だった事は、今となっては安倍さん、黒田さん自身が良く自覚していると思われるので、もう放っておいてあげましょう。
トランプのFRB攻撃も景気拡大期の金利引き上げに伴ういつもの光景です。
推測ですが、トランプは不動産産業出身なので、中銀が金利をどう弄ろうがバブルが発生し崩壊する循環現象は回避不能と理解しているから、強行手段には出ないのではないでしょうか。
リーマンショックの時、日本は財政支出と量的緩和で対抗しようとして、結局円高を止められませんでしたが、次の景気後退時はどうでしょうかね。
政府が更に國債を発行して財政支出し、日銀が買い入れる、でも結局円高(というかドル安)は回避出來ず、日銀はFRBより緩和の程度が足りないと責められるのでしょうか。
基軸通貨國の通貨変動に抗う手段なんて無い事はある程度の知識がある人なら分かっているだろうに、また茶番劇を繰り返す事になるなら馬鹿馬鹿しい事です。(2018/10/23 13:42)

歴史の審判は既に加わっている。中央銀行の自由度が高い國ほど、経済の狀況がよくないことはよく知られた事実だ。(そもそも獨立性が高くあるべきというもともとの根拠を調べてみれば、実に取るに足らない理由だ)

しかしエコノミストはその事実を無視し、自分達の思惑通りいかないと審判がくだるなどと予言をする。その予言は一度も當たったこともなく、エコノミストが発言の責任をとることもない。(2018/10/23 11:55)

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